大麦の栄養成分と健康価値

人が健康的な生活を送るためには、エネルギーや栄養素を取り過ぎたり不足しないように心がける必要があります。
日本人が毎日の食事で取るエネルギーや栄養素の量を示した基準を「日本人の食事摂取基準」といいます。基準は対象となる人の 年齢や性別そして妊婦や授乳婦というように、細かく分けられています。

「日本人の食事摂取基準」では、生活習慣病予防に重点が置かれ、『食物繊維』については積極的な摂取が、 『コレステロール』については取り過ぎないように目標量が定められています。

この目標量で積極的な摂取が重要とされている『食物繊維』を豊富に含むのが大麦です。
大麦(押麦)には、精白米の約16倍、玄米と比べても約3倍の『食物繊維』が含まれています(日本食品標準成分表2020年版(八訂)=日本で 流通している食品の栄養成分を分析して記載した資料による)。同様に『食物繊維』の量を野菜と比べると、ごぼうの1.4倍、 ほうれんそうの2.8倍になります。

さらに大麦は素晴らしいことに、水溶性の『食物繊維』不溶性の『食物繊維』をバランスよく含んでいます。水溶性の『食物繊維』 には取り過ぎないように目標量が定められている『コレステロール』の消化吸収を妨げる効果が確認されているのです。

このため、日本と同様に『コレステロール』が高いために心臓病の人が多いアメリカでは、国が大麦食品などの水溶性の『食物繊維』を多く含む食品を食べるように推奨しています。

大麦はビタミンB群やカリウム、カルシウムを多く含むのも特徴です。カリウムにはナトリウムを排泄し血圧を下げる効果が あります。また、カルシウムは骨を強くする働きがあり、日本人には不足しがちな栄養素のひとつです。

物質名 単位 押麦 米粒麦 精白米(参考)
エネルギー kcal 329 333 342
水分 g 12.7 14.0 14.9
たんぱく質 g 6.7 7.0 6.1
脂質 g 1.5 2.1 0.9
炭水化物 g 78.3 76.2 77.6
灰分 g 0.7 0.7 0.4
無機質 ナトリウム mg 2 2 1
カリウム mg 210 170 89
カルシウム mg 21 17 5
マグネシウム mg 40 25 23
リン mg 160 140 95
mg 1.1 1.2 0.8
亜鉛 mg 1.1 1.2 1.4
mg 0.22 0.37 0.22
マンガン mg 0.86 0.81
ビタミン ビタミンE mg 0.1 0.1 0.1
ビタミンB1 mg 0.11 0.19 0.08
ビタミンB2 mg 0.03 0.05 0.02
ナイアシン mg 3.4 2.3 1.2
ビタミンB6 mg 0.13 0.19 0.12
葉酸 μg 10 10 12
パントテン酸 mg 0.40 0.64 0.66
食物繊維 水溶性 g 4.3 6.0 tr
不溶性 g 3.6 2.7 0.5
総量 g 7.9 8.7 0.5

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
tr:微量を示す